柔道整復師の国家試験は毎年3月に実施され、受験資格は養成校で3年以上の課程を修了することだ。合格率は約60〜70%で推移しており、採用や育成計画を立てる上で試験の実施時期と難易度の把握が欠かせない。
主要データ
- 令和5年度(第31回)柔道整復師国家試験受験者数:4,554人(厚生労働省、2023年度)
- 同年度合格者数:2,887人(厚生労働省、2023年度)
- 同年度合格率:63.4%(厚生労働省、2023年度)
- 就業柔道整復師数:約7.5万人(厚労省 衛生行政報告例、2020年度)
採用時期の設定で外せない国家試験の実施スケジュール
結論から言う。新卒採用を計画している院長が最初に突き当たるのは採用活動の開始時期であり、柔道整復師の国家試験は毎年3月の第1日曜日に実施され、合格発表は3月下旬から4月初旬に設定されるため、この日程を基準に逆算しなければ優秀な人材は他院に流れる。
数字が物語る。令和5年度(第31回)の国家試験は2023年3月5日に実施され、合格発表は同年3月28日であり、受験者数4,554人に対し合格者数は2,887人、合格率は63.4%となっている(厚生労働省、2023年度)。この合格率は例年60〜70%の範囲で推移しているため、養成校の卒業生全員が資格を取得できるわけではないという前提で採用計画を組む必要がある。現実は厳しい。
問題はここにある。実務上、合格発表の3月下旬から4月1日入職までは1週間程度しかなく、内定を出すタイミングを「合格発表後」に設定すると、すでに他院で内定を得ている学生を逃すリスクが高まる一方で、「試験前に内定」を出す場合は不合格による採用取り消しの労務リスクが生じるため、この判断軸の整理が採用活動の出発点になる。見誤れない論点だ。
受験資格と養成校ルート—採用対象者の見極め方

基本条件だ。柔道整復師国家試験の受験資格は、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上の課程を修了することであり、この「3年以上」には昼間部3年制、夜間部3年制、4年制大学の3パターンがあるため、卒業時期と就業可能時期の違いを採用側が理解しておかなければ見極めを誤る。
ルートは複数ある。昼間部3年制の場合、高校卒業後ストレートに進学すれば21歳の3月に国家試験を受験し、4月から就業可能になる。夜間部3年制は働きながら通学する学生が多く、平均年齢は昼間部より高い傾向にある。4年制大学卒業者は22歳での受験となり、一般企業の新卒採用と競合する年齢層になる。
採用ターゲットを絞る際の判断軸は以下の3つだ。
- 年齢層:21歳の若年層を育成するか、夜間部出身の社会人経験者を即戦力として採用するか
- 学費負担の状況:養成校の学費は3年間で約400万〜500万円かかるため、奨学金返済を抱える学生が多い。給与水準の設定に影響する
- 地域の養成校分布:自院から通学圏内に養成校があるかで、地元出身者の採用可能性が変わる
地域差も大きい。全国の柔道整復師養成施設は約100校あり、東京・大阪・福岡など大都市圏に集中しているため、地方の院では県外出身者の採用が前提となり、住居手当や引越し費用の補助を採用条件に組み込む必要がある一方で、厚生労働省「衛生行政報告例(令和2年度)」によれば全国の柔道整復師施術所数は約5万施設に達しており、採用市場における施設間の競争は年々激化している。競争は避けられない。
養成校との連携で採用経路を確保する実務
入口が重要だ。養成校の就職課や教員との関係構築は新卒採用の成否を左右し、多くの養成校では2年次の冬から就職活動が始まり、3年次の夏には内定を出す院が出てくるため、この時期に求人票を提出していなければ学生の視野に入らない。遅れは致命的だ。
準備は前倒しが基本。養成校への求人票提出のタイミングは前年度の11月〜12月が目安であり、求人票には給与・勤務時間・社会保険加入の有無だけでなく、以下の項目を明記することで他院との差別化ができるうえ、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では柔道整復師の平均的な労働条件や求められる知識・スキルが体系的に整理されているため、求人票作成時の業界標準を把握する参考資料として活用できる。
記載項目 | 差別化のポイント |
|---|---|
研修制度の具体的内容 | OJTの期間、外部研修の頻度、技術指導の担当者名 |
国家試験対策のサポート | 試験直前期の勤務シフト調整、模試費用の負担 |
不合格時の対応 | 翌年の再受験までの雇用継続可否、給与条件の変更有無 |
キャリアパスの提示 | 3年後の想定給与、分院長登用の実績 |
差がつくのは細部だ。特に「不合格時の対応」を明記している院は少ないが、学生側の不安要素として大きく、内定後に不合格となった場合に雇用契約を継続するか解除するかの方針を事前に示すことで、信頼を得やすくなる。明示が力になる。
合格率と難易度の推移—採用計画に織り込む数値
まず押さえたい。柔道整復師国家試験の合格率は、ここ10年で大きく変動している。平成24年度(第20回)の合格率は73.8%だったが、令和元年度(第28回)には64.5%まで低下し、令和5年度(第31回)では63.4%となった。この合格率の変動は、出題基準の改定と問題の難易度調整によるものだ。厚生労働省の公表データによれば、第25回(平成28年度)の合格率は58.4%まで低下した年もあり、養成施設の教育体制の見直しが進められた経緯がある。
背景も重要だ。厚生労働省は平成30年に「柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会」を設置し、養成教育の質向上を図っているため、試験問題は臨床実技に関する出題が増加し、暗記だけでは対応できない内容にシフトしている。傾向は変わった。
採用計画では数値をそのまま使う。合格率63.4%という数値をどう織り込むかが判断軸であり、仮に3名の内定者を出した場合、統計的には1名が不合格になる計算となるため、4月1日時点で必要な人員が2名なら内定者は3〜4名確保する必要がある。読み違えは禁物だ。
試験科目と出題傾向—面接時の見極めポイント
見るべき科目は明確だ。国家試験は11科目230点満点で実施され、合格基準は総得点の60%以上かつ実技試験を除く必修問題で80%以上の正答が求められる。出題科目は以下の通りだ。
- 解剖学(20問)
- 生理学(20問)
- 運動学(20問)
- 病理学概論(10問)
- 衛生学・公衆衛生学(10問)
- 一般臨床医学(20問)
- 外科学概論(10問)
- 整形外科学(20問)
- リハビリテーション医学(10問)
- 柔道整復理論(60問)
- 関係法規(10問)
配点の重みは大きい。このうち「柔道整復理論」が60問と最も配点が高く、施術の実務に直結する科目であるため、面接時に学生の得意科目を聞く際、柔道整復理論の得点率が低い場合は実技指導に時間がかかる可能性を想定する必要がある。見逃せない点だ。
一方で、関係法規は10問と配点は少ないが、療養費の取扱いや受領委任制度の理解が問われるため、この科目の理解度は保険請求業務の習熟速度に影響し、レセプト業務を任せる予定があるなら重視すべきである。配点以上に重要である。
内定時期と労務リスク—試験前後の判断基準
判断が割れる論点だ。新卒採用で最も判断が分かれるのは、国家試験の合格前に内定を出すか、合格発表後に採用を確定するかであり、この選択は採用市場での競争力と労務リスクのトレードオフになる。どちらにも代償がある。
早期内定には利点がある。試験前に内定を出す場合のメリットは優秀な学生を早期に確保できる点であり、養成校の成績上位者は3年次の夏には複数の内定を得ているため、合格発表後に動き出すと残っているのは成績下位層か、他院の内定を辞退した学生に限られる。出遅れは不利だ。
ただし、リスクも明確だ。一方で、試験前内定のリスクは不合格時の対応であり、労働契約法16条により客観的に合理的な理由がない解雇は無効とされるため、「国家試験不合格」を理由とした内定取り消しは、採用時に「合格を条件とする」旨を明示していれば可能だが、トラブルになりやすい。書面整備が要る。
実務上の対処法として、以下の2パターンが採られている。
対応パターン | 条件設定 | リスクと対策 |
|---|---|---|
条件付き内定 | 「国家試験合格を条件に4月1日付で雇用契約を締結する」旨を内定通知書に明記 | 不合格時は契約不成立。ただし内定辞退による人員不足リスクあり |
無資格期間の雇用 | 不合格でも4月1日から雇用し、受付業務等の補助業務に従事させる。翌年の合格後に施術業務へ移行 | 1年間の人件費負担が増えるが、離職リスクは低い |
選択肢には性格の違いがある。前者の「条件付き内定」は人件費リスクを抑えられる反面、不合格者が出た場合の欠員補充が困難になり、後者の「無資格期間の雇用」は受付や清掃、予約管理などの業務で戦力化できるなら、翌年の合格を待つ選択肢として成立する。院の体力次第だ。
試験直前期のシフト調整と合格率への影響
見落とされがちな論点だ。内定者が試験直前期にアルバイトとして勤務している場合、シフトの組み方が合格率に影響する。試験の1〜2カ月前は模試や追い込み学習の時期であり、週5日勤務のシフトを組むと学習時間が確保できず不合格リスクが高まる。
現場の差は結果に出る。ある都内の院では、試験2カ月前から内定者のシフトを週2日に削減し、試験前1週間は完全休業とする運用を取り入れたところ、内定者3名全員が合格した。一方で、試験直前まで週4日勤務を続けさせた院では、3名中1名が不合格となり、翌年の再受験まで受付業務のみの雇用を続けることになった。
つまり、試験直前期のシフト調整は単なる配慮ではなく採用コストの最適化手段であり、不合格による翌年の再雇用コストや欠員による売上減少を考えれば、試験前1〜2カ月のシフト削減は合理的な判断になる。費用対効果は高い。
既存スタッフの資格取得支援—夜間部通学と勤務の両立
育成採用という選択肢だ。無資格の受付スタッフや、あん摩マッサージ指圧師の資格のみを持つスタッフに柔道整復師資格の取得を支援する院もあり、この場合は夜間部の養成校に通学しながら勤務を継続する形になるため、シフト設計と学費補助の設定が必要になる。片手間では回らない。
両立には制約がある。夜間部の授業時間は通常18時〜21時で、週5日の通学が基本だ。勤務時間を9時〜17時に設定すれば通学との両立は可能だが、施術所の営業時間が20時までの場合は夕方のピーク時間帯に人手が足りなくなる。運用設計が要る。
学費支援の方法としては、以下の3パターンがある。
- 全額立替・卒業後の分割返済:院が学費を立て替え、資格取得後に給与から分割控除する。離職時は残債の一括返済を契約条件にする
- 半額補助・返済義務なし:学費の半額を補助し、卒業後3年間の勤務継続を条件とする。期間内離職の場合は補助額を返還
- 報奨金方式:合格後に一時金(50万〜100万円)を支給し、学費は自己負担とする
選び方に院の方針が出る。1つ目の「全額立替」は院側のリスクが高いが優秀な人材を長期確保でき、2つ目の「半額補助」は双方のリスク分散になり最も採用されている方式である一方、3つ目の「報奨金」は学費負担が少ない分、他院への転職リスクが残る。万能策はない。
新卒採用における国家試験対策の支援範囲
支援の差が印象を決める。内定者に対する国家試験対策の支援は院によって温度差が大きく、模試費用の負担、参考書の提供、試験直前の激励など、支援内容は多岐にわたる。小さな差ではない。
費用は無視できない。模試は通常、年間5〜6回実施され、1回あたりの受験料は5,000円〜8,000円程度だ。年間で3万〜5万円の費用がかかるため、この負担を院が持つかどうかは学生側の評価に影響する。判断材料になる。
ある神奈川県の院では、内定者全員に対し以下の支援を実施している。
- 模試費用の全額負担
- 過去問題集・参考書の現物支給(約3万円分)
- 試験1週間前の激励会(食事会形式)
- 合格発表日の院長からの電話連絡
結果も示されている。この院では、内定者5名のうち4名が合格し、1名は翌年再受験で合格した。不合格だった1名も、支援を継続したことで離職せずに翌年の合格を果たしている。継続支援は効く。
逆に、支援を一切行わない院では内定辞退率が高くなる傾向があり、養成校の教員からの評判も下がって翌年以降の求人票提出を断られるケースもあるため、支援の有無は単なる福利厚生ではなく採用広報そのものに直結する。軽く見てはいけない。
採用後の育成計画と国家試験合格時期のズレ
入職後のズレが問題になる。4月1日入職を前提とした育成計画を立てている院では、3月の国家試験で不合格となった内定者をどう扱うかが問題になり、翌年3月まで待つのか、別の人材を追加採用するのか、判断軸は以下の3つだ。先送りできない論点だ。
判断軸 | 翌年再受験を待つ場合 | 追加採用する場合 |
|---|---|---|
人件費 | 無資格期間の給与(月18万〜20万円)×12カ月=約220万円 | 新規採用の求人広告費(10万〜30万円)+給与 |
戦力化の時期 | 翌年4月から施術可能。院の文化に馴染んでいる分、立ち上がりは早い | 即戦力採用なら即施術可能。ただし定着リスクあり |
離職リスク | 1年間の雇用継続で信頼関係が構築され、離職率は低い | 中途採用の平均離職率は新卒の約2倍 |
結局は収支判断になる。この判断は院の経営状況と患者数の増加ペースによるものであり、月間の施術売上が200万円以下の小規模院なら無資格スタッフを受付業務で活用しながら翌年を待つ選択肢が成立する一方で、月間売上500万円以上の院では施術者不足が売上機会損失に直結するため、追加採用が合理的だ。規模で答えは変わる。
国家試験の制度変更と採用戦略への影響
制度は固定ではない。柔道整復師国家試験の制度は数年ごとに見直しが行われており、直近では令和4年に出題基準が改定され、臨床実技に関する問題の比重が増加したため、この変更は養成校のカリキュラムにも影響し、実技授業の時間が延長されている。採用にも波及する。
今後の制度変更で注視すべきは、以下の3点だ。
- 受験資格の厳格化:養成校の定員削減や、カリキュラムの延長(4年制への移行)が検討されている
- 合格基準の引き上げ:現行の60%から65%への引き上げ案が議論されている
- 実技試験の導入:筆記試験のみの現行方式から、実技試験を加える案が浮上している
影響は小さくない。これらの変更が実施されれば合格率はさらに低下し、新卒採用の難易度が上がるうえ、特に実技試験の導入は試験日程が複数日に延びる可能性があり、合格発表の時期も後ろ倒しになるため、4月1日入職を前提とした採用スケジュールが成立しなくなるリスクがある。備えが必要だ。
制度変更に備えた採用戦略の見直し
先手が重要だ。制度変更のリスクに対応するには、以下の戦略が有効だ。
- 中途採用の強化:新卒採用のみに依存せず、他院からの転職者や、ブランク復帰者を受け入れる体制を整える
- 無資格者の育成ルート確保:受付スタッフから柔整師への育成ルートを整備し、夜間部通学を支援する
- 他資格者の採用:あん摩マッサージ指圧師や鍼灸師の資格保有者を採用し、自費メニューで戦力化する
要は分散だ。新卒採用が困難になる前提で複数の採用チャネルを持つことが、制度変更の影響を緩和するだけでなく、採用時期のズレや合格率の変動が起きた場合でも院の運営を止めない土台となる。依存先を一つにしないことが重要だ。
院長が採用面接で確認すべき国家試験関連の質問リスト
面接で差がつく。新卒採用の面接では、国家試験への取り組み状況を確認することで入職後の育成負荷を予測できるため、以下の質問リストを参考に、自院の育成方針と照らし合わせて判断する。質問設計が重要だ。
- 模試の成績は何点台か。全国順位はどの程度か
- 苦手科目は何か。克服のためにどんな学習をしているか
- 実技の授業で最も時間をかけたのはどの部位の施術か
- 柔道整復理論の得点率は何%か
- 関係法規の科目で、療養費の取扱いについてどの程度理解しているか
- 不合格だった場合、翌年の再受験をする意思はあるか
- 試験までの学習計画は立てているか。1日何時間の学習時間を確保しているか
- 養成校の就職課から、他にどの院を紹介されているか
なかでも優先順位がある。この中で特に重要なのは「不合格時の再受験意思」と「学習計画の有無」であり、再受験の意思が明確でない学生は不合格後に離職するリスクが高く、学習計画が具体的でない学生は試験への本気度が低く、合格可能性も下がる。優先して確認したい点だ。
新卒採用で陥りやすい失敗パターンと対処法
失敗は似通う。新卒採用における国家試験関連の失敗パターンは、以下の4つに集約される。先に知ることが対策になる。
失敗パターン1:合格率を甘く見て内定者数を絞りすぎる
典型例だ。合格率63.4%という数値を軽視し、必要人数と同数の内定しか出さないケースであり、3名採用したい場合、統計的には5名に内定を出す必要があるが、2〜3名にしか出さないと欠員が生じる。読みの甘さが原因だ。
対処はシンプルだ。必要人数の1.5倍〜2倍の内定者を確保し、全員合格した場合の配置先を事前に決めておくことである。分院展開を予定している院なら、合格者が想定より多くても吸収できる。余裕を持つべきだ。
失敗パターン2:試験直前期にシフトを削減せず不合格者を出す
短期最適の落とし穴だ。内定者をアルバイトとして雇用し、試験直前まで週4〜5日のシフトを組むことで学習時間を奪い、不合格リスクを高めるケースであり、短期的な人手不足を補うために長期的な損失を招く典型例になる。現場で起きやすい。
対処法は明確だ。試験2カ月前からシフトを週2日以下に削減し、試験前1週間は完全休業とすることだ。この期間の人手不足は、既存スタッフの残業や短期アルバイトの活用でカバーする。ここは投資だ。
失敗パターン3:不合格時の対応を事前に決めておらずトラブルになる
文書不備が火種になる。内定通知書に「国家試験合格を条件とする」旨を明記せず、口頭での約束のみで進めた結果、不合格時に内定取り消しを巡って紛争になるケースだ。労働審判に発展すると、解決までに数カ月かかり、和解金の支払いが発生することもある。
対処法は、内定通知書に明確な条件を記載し、不合格時の扱い(契約不成立または翌年再受験までの雇用継続)を事前に合意しておくことだ。書面が守る。
失敗パターン4:養成校との関係構築を怠り応募者が集まらない
集客以前の問題だ。求人サイトのみに頼り、養成校への求人票提出や学校訪問を行わないケースであり、柔整師の新卒採用市場では養成校経由の応募が全体の7割以上を占めるため、学校とのパイプがないと応募者そのものが集まらない。入口が閉じる。
対処法は、採用予定の前年11月までに近隣の養成校すべてに求人票を提出し、可能であれば就職課への訪問や学内説明会への参加を実施することだ。初年度は応募が少なくても、継続的に関係を築くことで2年目以降の応募数が増える。継続が効く。
採用計画を立てる前にチェックすべき8項目
まず点検だ。柔道整復師の新卒採用を成功させるには、国家試験のスケジュールと制度を前提とした計画が不可欠であり、以下のチェックリストで自院の準備状況を確認する。準備不足は後で響く。
- 近隣の養成校リストを作成し、就職課の連絡先を把握しているか
- 求人票の提出期限(通常11月〜12月)を把握し、スケジュールに組み込んでいるか
- 内定者数を、必要人数の1.5倍〜2倍に設定しているか
- 内定通知書に「国家試験合格を条件とする」旨を明記しているか
- 不合格時の対応方針(契約不成立 or 翌年まで雇用継続)を決定しているか
- 試験直前期(1〜2カ月前)のシフト削減計画を立てているか
- 模試費用や参考書の支援範囲を決定しているか
- 合格発表日(3月下旬)から4月1日までの入職準備スケジュールを組んでいるか
基準は明快だ。この8項目のうち5項目以上が未着手なら、採用活動を開始する前に計画の見直しが必要であり、特に「内定者数の設定」と「不合格時の対応方針」は採用コストと労務リスクに直結するため、院長自身が判断すべき事項になる。後回しにはできない。
現場で使える判断基準—データと経験の両輪
最後は実務の話だ。柔道整復師国家試験を軸とした採用戦略は、合格率63.4%という数値を起点に、自院の経営状況と育成方針を掛け合わせて判断するものであり、教科書では「優秀な人材を採用する」と書かれるが、整骨院経営の現場では「不合格リスクを織り込んだ上で、育成コストと離職リスクのバランスを取る」のが実務にほかならない。
経験則も無視できない。ベテラン院長の多くは、「新卒採用は3年かけて一人前にする投資」と言う。つまり、国家試験の合格・不合格を含めて、3年後に戦力化できるかどうかが判断軸になるということだ。この視点で採用計画を立てれば、短期的な合格率の変動に振り回されることなく、安定した人材確保が可能になる。現場感覚に即した見方だ。
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